

ふれあい牧場ひつじの里

ひつじカバーの開発
すべてはスピナーのために
”どうしてひつじさんは服着てるの?”
日本ではあまり馴染みのない光景ですよね。
ひつじさんに服を着せた羊毛は カバードウール と呼ばれていて、
スピナー(紡ぎ手さん)にとって、希少価値の高い特別なウールになるんです。
当初は海外からカバーを取り寄せて、試行錯誤を繰り返していたのですが、なかなかこのカバーを仕入れるのも大変でして、
今着せたいんだけど!って時に手に入らないんです...
誰か日本で作ってないかな~と思ったのですが,
ご存じですか?
国産羊毛って市場に出回っていないんですよね。
皆さんが着ているウールは、ほとんどが輸入ウールです。
なので、日本でカバーを作る理由がないんです。
じゃあ自分たちで作りますか~
となる訳で、
国産ひつじカバー 開発しております。
国産ひつじカバー
made in 尾州 ウールのまち一宮より
たまたまなんですけどね。
おとなりに ウールのまち があるんです。
尾州が。あの世界の尾州が。
ご縁あって、ひつじカバーを作って頂けることになりまして、
どんなカバーが良いかな~ と一緒になって考えて頂いております。
生地も一流、縫製技術も一流、
ウールのプロが、羊のために仕上げた服。
なんと贅沢なカバーでしょうか。
結構ね、
海外のカバーは安くて薄くて使い捨て感があるんですよ。
半年使ったらもうボロボロ。
環境にもよると思いますが、そんな感じでした。
しかも、ひつじって意外とパワーが強いんです。
足がカバーに引っかかると、
そのままビリリと生地が裂けるなんてしょっちゅうです。
翌朝行くと、
真っ二つに裂けたカバーが広場に落ちていて、
「見てみてー!」と
汚れた羊毛を自慢気に見せびらかしてくるひつじたち。
お決まりのパターンです。
私は ひつじカバーを制作していく上で、
1年通して着せ続けられる丈夫さを求めています。
素材はポリエステル。
結構丈夫な生地で、穴が開いてもそこから裂けにくい生地です。
汚れにも強く、
カバーに付いた汚れは水洗いすれば簡単に落ちます。
ひつじの脂もこってりと付きますが、お湯で洗えば簡単に落ちます。
まだまだ改良途中ですが
ひとまず今はこんな感じです。


Q:ひつじに負担はないの?
アニマルウェルフェアの世界へ
服が木の枝に引っかかって 動けなくなることもあります。
服が脱げて足に絡まり、助けてー!って鳴き叫ぶ時もあります。
どうしても毎日のケアは欠かせません。
特に毛が短い時期は、カバーが緩いので脱げやすいです。
その都度、カバーのサイズを微調整する必要があります。
アニマルウェルフェア (Animal Welfare)って言葉、ご存知ですか?
狭い畜舎に押し込んで、エサと水だけを与えるような飼育方法では、
動物たちに大きなストレスを与えてしまいます。
それじゃあダメだよね。
動物を飼育する目的は人それぞれだけど、目的を果たすまでの間は、
可能な限りストレスを与えないように管理しようね。
という意味の言葉です。
日本では「動物福祉」と訳されたりしています。
このアニマルウェルフェアを意識した上で、
私はひつじたちにカバーを着せています。
素材や形なども、ひつじに負担がないように。
脱げないように締め付け過ぎると、逆に動きにくくなっちゃうから、
出来るだけふわっと着せて~、でも緩み過ぎないように微調整を...
なので、どうしても毎日のケアは欠かせません。
カバーを着せてそのまんま~ という簡単なお話ではないのです。
ひつじに負担があるかないかと聞かれたら、
私はゼロではないと答えますが、
ゼロに向けて取り組み続けております。
Q:夏に着せてて暑くないの?
そこは私も 非常に気にしております。
35度以上の炎天下の時に 何度も計測した結果です↓
【カバーなし】
羊毛 表面温度 50度以上
羊毛 内部温度 平均42度
ひつじの体温 平均39.7度
【カバーあり】
カバーの表面温度 平均45度
カバー内部 羊毛 表面温度 平均42度
カバー内部 羊毛 内部温度 平均40度
ひつじの体温 平均39.8度
だいたい こんな感じでした。
さすが天然の断熱素材ですね。外の熱は通しません。
行動に関しても、
カバーなしのひつじが 日陰で休んでいる時も、
カバーありのひつじは 日向で草を食んでいることがあります。
以上の結果から、私はカバーありとなしとでは、
羊が感じる体感温度に あまり差はないのではないか
と考えています。

